産業用ロボットの種類

製造現場でよく活躍している4種の産業用ロボットをご紹介します。まずは、ロボットそれぞれの特徴を理解し、どんなロボットが自社の製造現場に導入できるのかイメージしてみましょう。自動化したい作業工程に最適なロボットを配置することで、省人化・省力化の効果が最大限発揮できます。

垂直多関節ロボット

産業用ロボットで最もイメージされやすいのが垂直多関節型。多関節の機構がより人間に近い柔軟な動作を生み出し、自由で複雑な作業を可能にしています。溶接、塗装、組立など幅広い用途・分野で活躍しています。


水平多関節ロボット
(スカラロボット)

水平方向へのアーム動作に重点を置いた水平多関節型。部品を押し込む動作や、ワークの上げ下ろし、高速な組立作業、工程間の搬送を得意とします。


直交ロボット

直交するスライド軸により構成されるシンプルな機構。複雑な動作はできませんが、高精度で制御がしやすいのが特徴です。長い搬送距離や重量物にも対応できる設計の自由度もあり、生産ラインの規模に関わらず導入しやすく、搬送や部品組立など様々な用途で活躍できます。


パラレルリンクロボット

上部から吊り下げて使用するロボット。アームが直列ではなく並列(パラレル)に付いているのが特徴。そのため、アームの動産領域は狭いが、その分製造ラインの安全性を確保しやすく、生産ラインをコンパクトに設計できます。細かな作業を素早く、器用にこなします。


産業用ロボットの推奨用途

産業用ロボットの種類により得意とする用途や領域も異なります。一般的な使用例を基に、それぞれのロボットの推奨用途を一覧化しました。

用途/種類

溶接

塗装

研磨・バリ取り

組立

ピッキング&プレイス
(仕分け、整列、搬送)

パッキング
(箱詰・包装)

パレタイジング
(出荷用積み付け)

垂直多関節ロボット

溶接

多関節による人間の作業に近い3次元の溶接が可能

塗装

ワークの形状、大きさに対しても均質で美しい塗装を実現します。

研磨・バリ取り

多関節の構造により立体的で複雑な形状でもきめ細かい仕上げ作業を行えます。

組立

可動範囲の広さを活かし、様々な組立工程を器用にこなします。

ピッキング&プレイス
(仕分け、整列、搬送)

×

パッキング
(箱詰・包装)

箱の中に丁寧に整列、段積みを行います。アームによる広い動作範囲で底の深い箱にも対応できます。

パレタイジング
(出荷用積み付け)

大小様々な箱や袋物のワークに対しても柔軟に対応できます。

水平多関節ロボット(スカラロボット)

溶接

×

塗装

×

研磨・バリ取り

水平面の動作とアーム先端の上下運動による仕上げ作業を行います。

組立

ネジの締め付けや圧入などを正確に行います。

ピッキング&プレイス
(仕分け、整列、搬送)

直交ロボットに比べ、省スペースかつ高速作業を行えます。

パッキング
(箱詰・包装)

上記と同様

パレタイジング
(出荷用積み付け)

軽量な出荷物の高速搬送を得意とします。

直行ロボット

溶接

×

塗装

×

研磨・バリ取り

×

組立

電子部品や半導体など繊細な作業が行える

ピッキング&プレイス
(仕分け、整列、搬送)

アーム剛性を考慮しなくてよいので位置決め制度が高い。初心者でも扱いやすい。

パッキング
(箱詰・包装)

上記と同様

パレタイジング
(出荷用積み付け)

重量があり、搬送距離が長くても対応できます。

パラレルリンクロボット

溶接

×

塗装

×

研磨・バリ取り

×

組立

精密な電子部品など小さな部品の組立を高速で組立てます。

ピッキング&プレイス
(仕分け、整列、搬送)

もっとも素早く、繊細に作業を行えます。

パッキング
(箱詰・包装)

高精度かつ他ロボットに比べ最速でパッキングを行えます。

パレタイジング
(出荷用積み付け)

×